千日回峰行満行者が挑む四無行(堂入り)とは?

この行は千日回峰行と一つになっているもので、千日回峰行を満行した行者は四無行へ入行しなければなりません。

断食、断水、不眠、不臥(飲まず、食わず、寝ず、横にならず)を9日間行うという荒行です。生きて満行する確率が50%という過酷な行であるため、行に入る前には、自分の縁がある人に最後の別れを伝えてから堂入りをするということです。

塩沼さんは、千日回峰行を満行した翌年に入行しました。

1日不動明の真言を10万回蔵王権現の真言を10万回の合計20万回唱えます。

そして、本尊への朝昼晩の3回のお勤めをし、午前2時仏様へお供えする水を井戸まで汲みに行くため、唯一、堂を出ます。

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出典:塩沼亮潤大阿闍梨オフィシャルサイト

あまりにも過酷であり、1日に1kgずつ痩せていくんだそうです。壮絶です。

そして、自分だけわからないということですが、3日目くらいから塩沼さんの体から死臭が漂い始めたということです。

極限状態の中で感覚が研ぎ澄まされますが、視力は瞳孔が開いてくるため鈍ってくるようです。

他の感覚はかなり鋭くなっていて、線香の崩れ落ちる音が聞こえたり、自分の前に置かれた逆さ屏風の向こう側で作業をしている修行僧が誰であるのかを、匂いだけでわかるほどだったそうです。

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出典:塩沼亮潤大阿闍梨オフィシャルサイト

飲まないということが一番つらく、想像の何百倍もきつかったといいます。

水分を取れないことで血液の粘性が上がり、座っているだけで脈拍が高い状態であるということです。

5日目からは1日1回のうがいが許されます。天目茶碗が2つ用意され、片方には水が入れられており、片方は空の茶碗です。

水を口に含み、空の茶碗へ移しますが、絶対に飲んではいけません。うがい終了後は水の量が確認され、移した水が減っていれば行は失敗に終わります。

水を飲まなくても、このうがいを行うことで、体はだいぶ楽になるそうです。

満行後は、ぬるま湯を少しずつ飲むということですが、最初に口に含み食道に入っていくと、9日間何も通っていなかったため、ミリミリミリっという剥がれるような音とともに痛さがあったということです。

塩沼さんは、入行1カ月前から断食を数度行い食を細く調整し、3日前からは断食を開始していたということです。また、満行翌日も念のために断食をしたということですから、合計13日間の断食となります。

その後は重湯から回復食をはじめ、1週間ほどかけて通常食へ戻していったということです。

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出典:塩沼亮潤大阿闍梨オフィシャルサイト

眠さは1~2目まではつらかったそうですが、3日目以降は行の世界に意識が入っていき、ゾーンに入ったような感覚となり、まったく眠気を感じなかったそうです。

眠くならないっていうのは考えられないですね。凄まじい精神力です。この行において最も辛さが少なかったのが、横にならないことだったそうです。

5日目には肘掛けが提供されるということですが、肘を置くと体の中心線がずれてしまうのが嫌で使わなかったようです。

この荒行の凄まじさを物語るエピソードがあります。

行には10人程度の修行僧が、隋行僧として傍で手伝うそうですが、塩沼さんがいつもどおり、目を開けて真言を唱え、数珠の珠を数える手も動いているのに、「阿闍梨さん!」と、何度呼びかけても反応が無く、5分ほど呼び続けていると、ようやく返事をするというようなことがあったそうです。

このことを塩沼さんは満行後に聞いて、その場面の記憶が甦ってきたと言います。

この行には、生と死の境を歩く時があるため、その状態に陥った時には、みんなで必死に呼びかけ、この世に意識を戻すのだそうです。

これだけ過酷を極める行でありながら、終わったときにはもう2~3日なら行を継続できるという感覚があったという塩沼さん。もはや超人です。

塩沼さんは19歳の小僧であった時から、四無行の最後には自分の脚で堂を出たいという夢を持っていたそうです。

実際、堂を出るときには、杖をついていたものの、自らの両脚で歩いて出ています。生死の境を彷徨う行を終えて、なお、これはもう想像を絶しますね。

 

塩沼亮潤がTED×Tohokuに出演

凄まじく過酷な行を成し遂げた塩沼さん。優しい表情と凛とした佇まい、そして、やわらかい語り口で千日回峰行の内容や入行中に綴った日記が披露されています。

人は生かされており、感謝の心、反省の心、相手を思いやる敬意の心が人生にとって大切であるということを説かれています。

『実るほど頭を垂れる稲穂かな』 生かされている、させてもらうという謙虚な気持ちを忘れないでいたいと思います。


出典:TEDx Talks 

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番組概要

タイトル クレイジージャーニー
放送日時 2016年2月11日(木) 23時53分~24時38分
放送局  TBS

おわりに(まとめ)

千日回峰行最終日の前夜となる999日目の夜、塩沼さんは筆をとり、『人生生涯小僧のこころ』と書き綴っています。

明日で行は終わっても、人生の行は最後の一息まで続くものであり、この行が終われば雑巾やほうきを持って、境内を走り回っていた小僧の生活と何ら変わりはなく、小僧の気持ちをもって生涯を生きていこう境地に至ったということです。

そして、1000日目もいつもと変わらず蔵王堂を出発して戻り、千日回峰行を満成しています。

塩沼さんは、千日回峰行に入行する前に、満行したら行で悟ったことを持って山を下りて生活をすることを決めていたそうです。

行も人生の一つの通過点であり、手段がいつの間にか目的になってしまってはいけないと言います。

日々の仕事や人間関係など、今、自分が携わっていること、置かれている状況を改めて見つめなおしてみる気持ちになります。

そして、これだけの行を成し遂げた人物が伝える、『手段と目的を混同しないこと』というのは、大変意義がるもので価値が大きいと考えます。

それは、その人の人生において何に重きを置いて、何を成し遂げたいのか、どんな自分になりたくて、どんな人生を送りたいのかという、人が生きる本質、そのものであると思うからです。

手段と目的』についてはいろいろな人が書籍でも著しています。もちろんそれ自体素晴らしいですし、大きな気づきがあります。

言葉は何を伝えるのかは大事ですが、誰が言っているのかはもっと大事ではないかと思います。

俗世を離れてひとつの過酷な行の道を歩き切った塩沼さんが発する言葉は、間違いなく金言であり、それぞれのお役目をもって、明日を行く人々の道を明るく照らしてくれるものではないでしょうか。

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塩沼亮潤さんの情報は、オフィシャルサイト慈眼寺オフィシャルサイトTwitter(慈眼寺)Facebook(慈眼寺)でチェックできます!

PS
どうしても行を前に進められなくなったとき、短刀や死出紐で自らの命を絶つのは強制ではなく、あくまでも宗教的伝統に基づいた考え方ということです。行に入る際に師匠からも「どうしても行が進められなくなったら、自ら命を絶ちなさい。」とは明言はされないんだそうです。

これは命を粗末にするということではなく、千日回峰行は1日でも大変な行であり、年間120日、9年間にわたり1日も休むことが許されないため、死ぬくらいの覚悟がないと行に入ってはいけないという戒めであるということです。

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